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2005.01.30

『おとこくらべ』 嵐山光三郎著 by 頑固な文庫読者

嵐山 光三郎著: おとこくらべ(ちくま文庫)
いきなり時代の中に放り込まれる。
例えば最初の短編、表題作である『おとこくらべ』。
「我慢おし~。」(~は繰り返しを表す記号です。わからない人は立ち読みしてください(汗))
なんて、文章からして昔の雰囲気が漂っているじゃないですか。
「米の中へ腕を入れて、米がさくさく音をたてて、肘の内側にひんやりとあるのが好きなのよ」
なんて、今じゃ誰も言わない。誰も感じない。
放り込まれた僕は、でこぼこの土の地面を草履や下駄で歩き、板塀や薄い生け垣で仕切られた小道を歩くような気分。そこに樋口一葉や夏目漱石、芥川龍之介がいる。ちょっと玄関から顔を覗かせれば、口から出た言葉がビンビンと鼓膜を震わせそうだ。

圧巻は芥川龍之介の死をかいた『葬儀』。
見てきたようなウソを言い、とはこのことかと思うのであるが、そのウソがウソ以上のウソ。まぁ本当のことも書かれている部分もあるのだろうけど、ウソを重ねて重ねて本物以上の迫力を醸している。
著者には『文人悪食』『追悼の達人』という快書があるが、ここでも本領発揮。
読者は逆らわずに、迫力に思う存分押し流される快感を味わうのがベスト。ここでは疑問は禁物だ。

時代の味がする文章。他になんて言えばいいのか。
本の中に没入することが出来ることは間違いない。
嵐山光三郎、恐るべし、である。

『おとこくらべ』
嵐山光三郎著
ちくま文庫 ISBN4-480-42008-8
本体740円+税

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