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2005.01.16

『恋する音楽小説』 阿川佐和子著 by 頑固な文庫読者

阿川 佐和子〔著〕: 恋する音楽小説(講談社文庫)

何においてもそうだけど、物事を関連づけて考えるとそれぞれ単独の事柄が広がりを持つ。

音楽はそれ自体に連想や関連づけを誘う。というか、音楽を聴いて、音符の並びやハーモニーや楽器の奏でる音色だけに心を惹かれることは少ないのではなかろうか。暖かさや冷たさ、喜びや悲しみなど、自他の経験も含めて音楽そのものではない何かが浮かんでくるはずだ。

あとがきによると、クラシックやそれ以外の音楽に関しての資料をたくさんあたった末にできあがったものらしい。しかも、この本に収められている小説は元々ラジオ放送で流されたものであるとのこと。実は読んでいて、少し違和感を感じていたのだ。19編の物語のほとんどが、独白形式で書かれている。独白そのものであったり、手紙であったりするのだが、日頃そういう文体の小説を読み慣れていないから余計である。

しかし、この形式がテーマに対する物語性を深くしているのではないかと思う。音楽が聴く人それぞれに、その人だけの、その人しかわからない感情の変化を引き起こすのと同様に、物語中で語る人だけが知りうる、わかりうることだけが読む者に伝わるからだ。
テーマは音楽家や曲である。その本人の家族や、曲自体が表す物語が直接語る。これほど雄弁なことはない。もちろん創作ではあるのだが。

残念ながら、テーマとなっているものに知識がないので、ほとんどが独立した物語としてしか読むことが出来なかった。それぞれの冒頭には関連する曲名が並んでいるので、どれか一つでもBGMとしていれば、また雰囲気は変わっただろう。
そんな中、単純に気に入った物語は『妖精たちのシンデレラ』。皮肉が一杯つまっていて、ひねくれ者の自分のツボに入ってしまった。
あと一つ、これは個人的に気になった部分。『アリスと猫の旅』のなかで「マザーグース」(ロンドン橋のうた)と「マイ・フェア・レディ」の関係が書かれていたこと。「マイ・フェア・レディ」は好きな映画の一つだけど、このうたに込められている意味と映画は何か関係あるのだろうか。(ロンドン橋のうたのなかにでてくる「マイ・フェア・レディ」とは人柱を暗示しているらしい)

『恋する音楽小説』
阿川佐和子著
講談社文庫 ISBN4-06-274926-6
本体495円+税

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