『東京元気工場』 竹内宏編著 by 頑固な文庫読者
日本が現在の繁栄を築いているのも、この本に登場する人々の前の世代のたくさんの技術者たちのおかげだ。今、同じようなことが中国で起きている。
いまだに続く不況の中、復活するための方法はあるのか。
ということで、7社の「発信型」工場を、それぞれ代表する人物が自ら語る。
なるほどと思う部分は多く、何度も出てくるのは
「出来る、と思えば出来る」
ということである。どのようなモノであっても、出来ると信じればアイデアや技術はついてくるのである。いや、ひねり出すのである。
技術者としての経験や、取引先とのやりとりの中から、あるいは自分のために必要なことから、それが世に認められるまでは長い道のりである。本の中ではほんの数行でまとめられている裏側には、通常の業務や資金繰りなど、会社を維持していくための苦労が隠されている。
中でも書かれているが、そういう点では技術力のあるベンチャー企業が起きにくい国でもある。元気があるところには、元気の素を気前よく差し出すところがあってもいいのではないか。なにしろ、日本は技術の国なのだから。
今更言うまでもなく、他にない技術があるから利益を生み出すことが出来、その技術によって受ける恩恵を幅広く行き渡らせることが可能なのだ。
少なくとも、そういう世界の末席にいる自分にとって、夢のような話ではなく、すぐ隣にあってもおかしくないものに思える。
ひとつ気になったところ。それは特許に関して。
何ヶ所かで出てきたが、理論的な特許はとっても、製造方法に関する特許はとらない、という部分。なるほど、先進の技術になるほど伴う製造技術は高くなる。理論は分かっていても作れなければ何もならないわけだ。製造方法に関する特許をとろうとすれば、それが公開されてしまうから、一部分でも変えて作れてしまえばそれまで。苦労が水の泡である。日本から流出する製造技術を守るという点においても有効な手段だと思った。
『東京元気工場』
竹内宏編著
小学館文庫 ISBN4-09-405522-3
本体476円+税
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