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2005.02.19

『二人の彼』 群ようこ著 by 頑固な文庫読者

群 ようこ〔著〕: 二人の彼(角川文庫)

 なんだか変な人々が登場する短編集。
 著者の短編集ではこういうパターンが非常に多い。というよりは、これが売りである。
 行動が鼻につく同級生。
 役割が逆転しつつある夫。
 迷惑だけど信念のある母の行動に困っている娘。
 自分勝手な母と振り回される父娘。
 などなど。

 他人から見れば、所詮それらの人々の生活は喜劇だ。著者はそれらの断片を拾い上げ、虫眼鏡で拡大して分かりやすく提供してくれる。多かれ少なかれ、似たようなことは自分の周りでも、いや、自分自身にも起きていることにも気がつかず、面白がるのだ。

 いつも思うのだが、著者の短編に登場する人物の名前は「カタカナ」である。実は、このカタカナ名前は匿名性を示しているのではなくて、読者の周囲にいるかもしれない類似の人物だということを表している。ハッキリとした氏名をつけてしまうと、それだけで読む者から距離が生じるからだろう。

 こういう物語は、登場人物を遠くに感じさせることなく、しかし、近すぎてもいけない。軽く読んでしまうには、あまりに微妙な「距離感」が必要なのだ。

 それでも、読む人によっては思い当たる人物が思い浮かぶかもしれない。そこまではいいのだけど、その人物がこの本を読むまでは気がつかないことに喜劇が生まれる。あるいは、読んでも全く自らのことと気がつかないこともあり得るのだ。

 なにしろ、自分のことは自分では分からないものなのだから。

『二人の彼』
群ようこ著
新潮文庫 ISBN4-04-171715-9
本体476円+税

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