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2005.03.21

『物理と数学の不思議な関係』 マルコム・E・ラインズ著 by 頑固な文庫読者

マルコム・E.ラインズ著: 物理と数学の不思議な関係(ハヤカワ文庫 NF 295)

 理系科目が嫌いな人は、物理も数学も一緒くたで嫌いなのだろうか。

 しかし、実際の物理と数学は、実はそれ以上の反目した関係を築いているのかもしれない。これは不思議だ。切っても切れない関係であるのに、一方は現象を観測できることが重要であり、一方は何の役に立つのか分からない数式や問いに厳しすぎるほど厳格な証明を必要とする。

 物理では、現象が高い確率である法則に従えば、それは成立する。
 数学では、ある法則が証明されなければ、それは成立しない。

 ある意味、物理では曖昧な土台の上に構築されているといってもいい。実際に、ニュートン力学は非常にミクロな世界では成立しない。長い間信じられてきたことが、モノの見事にひっくり返されてしまうことになってしまうのだ。
 これは数学では起きないこと。

 しかし、新たに作られる理論が、まるでそれを待ちかねていたように数学の世界に用意されているモノで対応できてしまう。

 例えば、結晶・粒子構造と群論、相対性理論と幾何学、波動とフーリエ変換。その他、カオス、テンソル、確率、トポロジー、フラクタル、・・・。

 物理現象を表す道具として数学は切っても切れない関係にある。しかもあらかじめ用意されているとなれば、何のための物理で、何のための数学か、とも言いたくなってしまうのであるが。

 それぞれの詳しい内容については理解していないので書けないが、いつも思うのは、一見関係ないモノ同士が実は大きな結びつきを持っている、ことに気がつくとき、不思議さと面白さが一挙に大きくなるのだ。

 純粋な数学の世界では、具体的な応用方法がまだ見つかっていないのかもしれない。いつか現実世界の物理現象を表現することになる可能性を秘めているのかもしれない。
 物理は、それを表すのにもっとも適した数学的言語を模索しているだけなのかもしれない。

 嫌でも切り離すことのできない二つの学問。
 今にして思えば、こういう関係性に注目して勉強すれば、深く面白く吸収することができたのではないかなぁ。

 書名から受ける印象よりも、遙かにワクワクする内容に驚く。少しでも両方の分野に興味のある人は読んでも損はない。

『物理と数学の不思議な関係』
マルコム・E・ラインズ著
ハヤカワ文庫 ISBN4-15-050295-1
本体1000円+税

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コメント

物理と数学、とても敷居が高いとイメージがあります。僕の専攻の経済学は、理論面ではかなり高度な数学を使う傾向にあるので、それだけで論文を読むのが辛くなることがあります。でも、どんな精緻な数学を駆使して、美しい理論モデルを構築しても、現実経済を説明できなければなにもならない、という面もあります。

Primera

投稿: Primera | 2005.03.21 12:28

毎度です。

経済学は全然分からないのですが、「流れ」や「確率」といったものが絡むんですかねぇ。あるいは「カオス」「フラクタル」なんてのも関係ありそう。
理論よりも説明という点では、物理と似ている感じがしますね。
不確実な部分が多そうな気もしますので、数学でバッチリ説明というわけにはいかないのでしょう。ただ、なにかしらの理論的な方向性を表す必要があるはずですし。

投稿: みそがい | 2005.03.21 21:32

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