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2005.12.11

『文学外への飛翔』 筒井康隆著 by 頑固な文庫読者

筒井 康隆著: 文学外への飛翔

 そこまでやるのか。

 役者の仕事は全然分からないけど、役者としての役作りと、小説家としての物語作りの顔が一緒になって大変なことになっていることは感じる。
 著者が演技をしている場面は、TVで何度か見た程度なので、どのくらいすごいのか今ひとつピンと来ない。もちろん、TVと舞台では異なるのだろう。

 私は「演技」にはあまり興味がない。たまに見るドラマは、既に「そういう風に出来上がっている」ものであって、下手なモノは下手と思えても、上手いモノが上手いのかどうかは分からないというのが本当のところ。

 何もない状態から見せることが出来る状態までの遷移が、はたして読者にとって面白いのか。

 そのような心配はいらぬお世話。
 引き合いに出すのは適当か分からぬが『ガラスの仮面』だって十二分に面白かったではないか。結果よりも、過程が訴えるものごとが大きくて熱いのだ。

「演じる者と観客とには常に感性の大きな違いが生じるのである」

 本の半ばあたりで登場する文章。
 役者と観客の関係は、そのまま小説家と読者のそれと同じである。おそらく、小説家として数え切れないくらいのギャップを感じ、歩み寄り、あるいは、突き放すことを繰り返してきたのではないか。
 幸か不幸か、演技にはテキストがあり、演出者がいる。役者としての著者は、小説家であることを取り込んだ上の読者となり、表現の方向性を示す演出者とともに考えることで、普通の役者以上に役作りには深く有利な状況にあるとも言えそう。

 さて、ただ一点引っ掛かったところ。
 「神父のおれがアイドルを襲う」という日記形式の稽古譚。
 その中で、「昨日からの疲れが溜まっていたので、爆睡」という文。なんだか「爆睡」という単語が、著者のイメージとかけ離れている感じがする。
 これもまた、感性の大きな違い、なのだろうか(汗)

『文学外への飛翔』
筒井康隆著
文庫 ISBN4-09-408034-1
514本体円+税

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