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2005.12.10

『ハードボイルド・エッグ』 荻原浩著 by 頑固な文庫読者

荻原 浩著: ハードボイルド・エッグ

 生きていくために必要なものは、信念。

 たとえ他人から見て理解できなくても、真っ当なものであれば、自分に対する結果が吉と出ようが凶と出ようが関係ない。
 しかし、そこに自分以外の人間が絡んでくると簡単にはいかないのだ。喜劇にもなり悲劇にもなる。

 世にハードボイルドといえる話しは腐るほどある。
 たぶん、ハードボイルドを目指す話しも少しはあるだろう。
 必要なものは相棒。スペンサーに対するホーク、あるいはスーザンのように。
 この物語に必要だったのは、ねじの巻き方が少々異なる主人公に対して、スポンジのように吸収し、絞り出し、形を変える、これまた異色の相棒。

 おそらく、この組み合わせに思い至ったとき、著者は小躍りしたのではないか。実は相容れないにもかかわらず、ほんの少しの絡み合いが強い力となり、絶妙のクッションともなりうることに。

 はやらない探偵業を生業とする男に、ひょんなことから雇った秘書。奇妙な殺人事件を追ううちにぶつかる謎。解決後に現れるもう一つにして最大の謎。

 物語の中にちりばめられるハードボイルド小説の中の台詞。
 知っているものもあるし、そうでないものもある。小説を読んでいなくても言葉だけは知っているというパターンが多いのは情けないのであるが。
 その中でオリジナルかもしれない(?)一文。

「本の中に出てくる人は、続きがないから楽だけれどさ。人の一生ちゅうのは、よけいな続きが長いんだよ」

 こういうのもある。

「女のやめろは、いつだって男をけしかけるのだ」

 こんなのもある。

「あせることはない。どうせいつかは、死にたくなくても、死ななくちゃならないんだから」

 ラストはちょっとずるいなぁ、と思ってしまうが、これはこれで納得。泣ける。

 結局、探偵と秘書。互いに悪くない場所にいた、というところである。
 是非とも最後まで一気読みして、ニヤッとしつつ涙をこぼすべし。

『ハードボイルド・エッグ』
荻原浩著
双葉文庫 ISBN4-575-50485-4
本体695円+税

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コメント

今日読み終わりました。
やはり自分も最後はずるいなぁ~、ちょっと違うかもしれませんが
卑怯な終わり方だなぁ~と思いました。
ちょっとうるっときてしまったのも事実です。
「オロロ畑で~~」と「明日の記憶」しか読んでませんが、荻原浩は面白い。
そう思えました。

投稿: す~さん | 2006.01.06 21:08

す~さん、こんにちは。

やっぱりそう思いましたか。
実は、何作かのシリーズものになるのでは、とも思ったのですが、そういうことをしてマンネリ気味になるのを嫌ったのかもしれません。
ああいう形で物語をしめるしか方法がなかったのかなぁ。

「明日の記憶」は文庫になっていないのでまだ読んでいません(汗)
「オロロ畑でつかまえて」を読まれたのでしたら、次は「なかよし小鳩組」をおすすめします。

投稿: みそがい | 2006.01.06 22:15

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» [読書]固ゆで卵って懐かしい味 [momo☆彡のスタイル。]
Kei助のことに夢中になっててすっかり忘れてたけど、ちゃんと本も読んでたりします。今回はコレ。 荻原浩さんの『ハードボイルド・エッグ』。笑えます。 レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説の主人公、私立探偵フィリップ・マーロウにあこがれて探偵になった俊平だけど、実際にやってる仕事は迷子になったペット探しばかりだし、やることなすこと理想とは大違い・・・。 美人秘書をねらって求人を出したら実際に来たのは80歳の綾というおばあちゃん。その涼平と綾が殺人事件(?)に巻き込まれてドタバタしながら... [続きを読む]

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