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2008.01.19

『江戸っ子だってねえ』 吉川潮著 by 頑固な文庫読者

吉川潮: 江戸っ子だってねえ 吉川潮芸人小説セレクション 第2巻 浪曲師廣澤虎造一代 (ランダムハウス講談社 よ 2-2 吉川潮芸人小説セレクション 第 2巻)

「次郎長伝」で知られる浪曲師廣澤虎造の一代記。

 本当のことを言えば、浪花節が一世を風靡していたなんてことが信じられない。

 自分の生きている時代が、浪花節の時代とはほとんど接点がないということであるのだが、それでも、
「旅~ゆけば~ぁあ、駿河の国に~茶ぁのぉ~香り」
なんていうフレーズが苦もなく浮かんでくるから、不思議である。

 廣澤虎造の名前だって、記憶にあるような無いような、心許ない状態だ。なのに、読み進めていけば、浪花節の世界が生き生きとしていた状況をすんなりと受け入れることができる。
 さらには、浪花節の中の文句がいかに練られたものであり、人々の心に入り込むだけのことがあるのかが分かる。しかも、時代を超えてまで。

「馬鹿は死ななきゃ直らない」

 森の石松は死んでしまったけど、馬鹿は直っただろうか。
 廣澤虎造は死んでしまったけど、浪花節も死んでしまったのだろうか。

 たぶん、興味がない人々にとっては死んでしまったも同然のことだろう。僕もそう感じている。ただ、虎は死んでも皮を残す、のだ。
 その皮が、浪花節だということに気がつかないままで。 

『江戸っ子だってねえ 浪曲師廣澤虎造一代記』
吉川潮著
ランダムハウス講談社文庫 ISBN978-4-270-10139-1
本体740円+税

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