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2008.07.21

『異説 数学者列伝』 森毅著 by 頑固な文庫読者

「その遺体は名もない共同墓地に運ばれ、教会の記録にはたれが書いたのか、『その生涯はむだに終わった』とある。」 (数学を捨てて町に出よう - ボヤイ より)

 数学において名を残すのは、その人の希望であるのか。
 人知れず横たわる真理を発見し構築することで、目的のほとんどが達成されたのかもしれない。誰よりも早く成果を発表し、公のものとすることで、かけた時間と生活が報われるという面もあるだろう。
 非ユークリッド幾何学を見いだしたボヤイは、後に同時代の数学者によって先んじされたことを知る。だから、傍観者である我々は、一番でなければ無いものと同じ、というごく普通の評価を下してしまうことになりがちだ。

 しかし、無駄なものは必要ではないものか。
 数学に限らず、多くの学術的成果においては背後に数え切れないほどの「むだに終わった」研究があるはずだ。同じ結論を導き出しているのに「むだ」と評価されるむごい世界。そうと知りつつ真理を追い続ける人にとって、「むだ」の後の生き方は再び熱くなれる日々となるのだろうか。残念ながらボヤイにとっては再びはおとずれなかったようであるが。

 数学者30人の生涯が簡潔にまとめられている。ただし、業績には多くを触れず、その時代の雰囲気や人となりが主であるので読みやすい。著者の主観や論争のタネなども織り込まれ、数学関係書としては異色の面白さ。

『異説 数学者列伝』
森毅著
ちくま学芸文庫 ISBN4-480-08658-7
本体900円+税

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