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2014.01.05

『ミュシャ展 パリの夢 モラヴィアの祈り』 (森アーツセンターギャラリー) を観る

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ミュシャといえば、アール・ヌーヴォーの、とまぁそれくらいは知っているし、というか、以前にも何度か展覧会を観たことがある。

なんといっても、初期のポスターに代表されるような独特の表現美。ある意味、頑ななとも感じられる様式。たぶん、この部分に惹き込まれてしまう人は、一生忘れられなくなってしまうだろう。

と、今までの印象を反芻できるのはここまでで、会場の後半は様相が異なる。

ざっくりいえば、ポスター系美術から、精神世界を表現する美術への移行である。明らかに違ってくるのが顔の表現。鑑賞者に親近感を覚えさせるのが前半というならば、後半は苦しみを訴えかけるかのよう。

それを象徴するかのような作品が『スラヴ叙事詩』であろう。(ただし、展示はなくてプロジェクターによる作品紹介だったけど)
自分の民族的なアイデンティティの再確認というか、守りたい強固な想いというか。
それは娘の肖像画にも表れており、民族衣装を纏い、重い表情をしていることでも見てとれる。

はっきり言って、後半は観ているだけで疲れてしまう。
ミュシャの抱えている想いを、受け取れきれないのだ。
それは、あっしがそれだけの似たような想いを持った経験がないということの裏返しなのだろう。
たとえば、故郷を失うとか、民族全体が危機に瀕するとか、そういった自分自身の軌跡の危うさを。

最初は浮かれて、出口でグッタリ。
しかし、ミュシャはその出口に向かって自己のすべてを捧げたことに気がつかされたことだけでも、十分だ。
よくよくポスターを見てみると、
「あなたが知らない本当のミュシャ。」
とあった。
そういうことだったのか。

『ミュシャ展 パリの夢 モラヴィアの祈り』
森アーツセンターギャラリー
2013/03/09~2013/05/19

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