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2014.08.05

『義肢に血が通うまで -戦傷病者の社会復帰と労苦-』 (しょうけい館) を観る

20140805a

昭和館の企画展を観た後、靖国通りを神保町方面に歩いて行くと、変な看板が目に入った。

しょうけい館、とは聞いたことが無い施設名だったが、どうやら戦争に関する展示を行うようだ、ということで、小さな路地に入って入り口を探した。

20140805b

すると、割と立派なビルのガラス窓に同じ画像が貼られていた。

しょうけい館とは、戦傷病者史料館が正式名称らしいが、要するに戦争で腕や脚を切断せざるを得なくなったり、失明したりと、障碍をもつことによる苦労と生活の再建への取り組みを紹介するのが目的のようである。

1階が企画展で「義肢に血が通うまで」、2階が常設展示となっている。
また、1階には映像コーナーや関連書籍、情報検索用PCなどを使用できる場所もある。

まずは企画展を観てみる。

主に義肢や義足の実物を展示しているのだが、その歴史は古く、日本では西南戦争の頃から少しずつ普及していったようである。当初は失った部分の見栄えを補完する審美的義肢から、その後は実用性(作業性)を重視した作業用義肢に重点が変化していく。
これは、義肢を装着する本人が、作業することを通して社会に復帰していくことを示している。
しかし、そうはいっても簡単なことでは無い。
各種の作業のための義肢が開発され、それを使って訓練を行い、身を立てられるようにするには血のにじむような努力が必要であったろう。
それこそが、ここでいう「義肢に血を通わせる」ことになるのだ。

既に現代の技術では、義肢に神経を通わせることも可能になりつつある。

現代日本では、戦争による四肢の欠損といったことは、もはや無いと言えるが、交通事故や労働災害、疾病などでやむなく必要になる人もいる。だから、義肢の性能向上についてはたゆまぬ性能向上が必要とされるだろう。

また、国外に目を向ければ、戦争が日常になっているところも多く、毎日のようにニュースで報じられている。
そのような場所では、今でも義肢を必要とする人々が増え続けているのだろう。
いつまでこんなコトが続くのか…。


さて、2階へ。
見所は、兵士が受傷したときの衣服だったり、眼鏡だったり。摘出した弾丸だったり。

さらにびっくりするのが、野戦病院の実物大ジオラマ。
薄暗い洞穴には受傷した兵士が3人。
一人は洞穴の壁際で銃を持ちつつ虚ろな目をしている。
一人は運び込まれた担架に乗せられたまま地面におかれてい、片手を虚空に伸ばしている。
もう一人は粗末な台の上で軍医によって弾丸の摘出手術を受けている最中。口には棒をかませ、麻酔なしの痛さに弓なる背中を押さえつけるために衛生兵が二人がかりで兵士を押さえつけている。
そしてまた一人、洞穴には肩を担がれた兵士が入ってくる。

いやはや、背筋が冷たくなるほど良くできている。
長居はしたくないけど、ナレーションを聞き終わるまで動くことができなかった。

終戦。
帰国する病院船である氷川丸の映像であったり、箱根の療養所で使われた車いすであったり。

それらを見て気がついたのは、傷病者の来ている服は白いのだ。

ここであっしの古い記憶の話になる。

幼稚園か小学校低学年の頃だったか。
親戚の家に行くために車で上野のガード下を通り過ぎると、レストラン聚楽と京成上野駅入り口の間に階段がある。(階段は今でもある)
その階段の両端には白い衣装を着た人が下から上まで何人かずつ並んでいた。
中には、明らかに両手両足の長さが足りていない人もいた。
幟や看板みたいなものがあって、何かが書かれていたような気もする。

いつの頃からか、そういう人は見当たらなくなり、似顔絵描きの人なんかに変化していったのだが、白衣装の人の記憶は、脳味噌の奥底に沈んでいた。

ところが、今回の展示を見て、「あぁ!」とつながったわけである。
あれから30年、40年。もう彼らはこの世にはいないのだろう。
でも、あっしは覚えていた。
そして、これからも忘れないはずだ。

大きくはない展示設備であるが、一度は観ておくべきであろう。


『義肢に血が通うまで -戦傷病者の社会復帰と労苦-』
しょうけい館
2014/07/23~2014/09/15

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