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2014.09.24

『恋の華・白蓮事件』 (永畑道子著) を読む

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引き続き、柳原白蓮関連の本を読んだ。

『白蓮れんれん』(林真理子)よりも12年早く書かれたもの。したがって、使用した資料、取材過程などが異なっている。まだ存命であった関係者の証言なども生かされていると思われる。また、より評伝に近い形態で書かれており、随時、証言や文献が引用されている。柳原燁子(白蓮)の生誕の事情から掘り起こされているので、その点からいえば人生の全体像を把握するのであれば、この本を読むべきか。

ただし、読み手としては、必ずしも時系列の記述になっていないので、うっかりすると話が分からなくなってしまうのが、むむと思ったところもある。

全体の印象は、『白蓮れんれん』よりも、より奔放な性格として白蓮を捉えている。伊藤伝右衛門との再婚を機にさらに歌にのめり込んでいく白蓮が、自分で自分を追い込んでいく女性として書かれている。それは、愛のない生活から愛を求める生活への変貌を遂げていくことと同義であり、宮崎竜介以前にも複数の男との手紙のやりとりで駆け引きがあったことなども露わにされている。

白蓮と竜介の出会いは、本書の中では全体の全体の終わりまで残り1/4あたりからとなる。
竜介自身の証言として、白蓮と初対面したときには特別な感情は無かった、とも書かれていることから、白蓮からのアタックが強烈だったことも推察される。

最初は仕事上の関係であったものではあるが、白蓮にとっては自分の生み出した作品を理解する数少ない男である竜介を希望の星として捉えるのも無理はない、とも思う。九州筑紫では女王と呼ばれていても、愛のない生活からの脱出欲は最早爆発寸前だったのだろう。

したがって、白蓮事件とはいっても、本書ではそこに至る白蓮の心の変化を通して臨場感を高める意味もあったのではないだろうか。

同じ事件であっても、どこからの視点で記述するか。俯瞰する場面、掘り起こす場面の選択によって、できあがる本の印象が大きく変化するところが面白い。
どちらか一方を読んだ人は、もう一方の本を合わせて読んでみるのも一興であると思いますよ(笑)


『恋の華・白蓮事件』
永畑道子著
文春文庫

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