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2014.09.18

上村一夫 二つの 『一葉裏日誌』

前にも書きましたが、上村一夫の漫画を集めている。

1940年に生まれ、1986年に亡くなっているから、もう少しで没後30年になる。漫画家としての活躍は約20年間といったところか。『昭和の絵師』 といわれる流麗な画風は、未だに無二のものと確信している。

漫画家として現役の頃から長い時間が経っているので、作品が単行本等になると時期によっていろいろな装幀になったり、文庫版として登場したりと、さまざまな形態をとるものがある。

そんな作品の一つが、今回取り上げる 『一葉裏日誌』。

20140918a

写真はともに小学館から出ている(出ていた)もので、左は現在も入手可能な文庫版で、右は絶版となっているA5版の箱入り装幀版。

それぞれページ数は、346と168。

なんと、文庫版の方がページ数が多い。

何故かというと、収録されている作品が異なっているのである。タイトルとなっている 「一葉裏日誌」 はもちろん同じ内容が収録されているが、合わせて 「うたまる」 という作品もどちらにも収録されている。

そこまでは同じ。

目次を含む見開きを比較してみると。

A5版
20140918b

文庫版
20140918c

となっており(見にくくてすいません)

A5版では、「一葉裏日誌」(全3話) の第1話 「たけくらべの頃」 が4ページのフルカラー、4ページの2色カラーになっていて、巻末には解説(福田義也)、作品リスト、エッセイ(久世光彦・高信太郎・佐藤敏章)がある。

文庫版では、すべてモノクロ、巻末には娘の上村汀さんのエッセイが代わりに掲載されている。さらに大きな違いは、

「帯の男」 (全6話)

という作品が載っていることである。

実は、この作品は他の単行本や文庫化されたものには(おそらく)入っておらず、読むことができるのはこの文庫版だけなのだ。

この作品は、ビッグコミックの増刊号に不定期に掲載されたもので、和服の着付けで帯を締めるだけの役を務める初老の男が主人公で、とっても渋い内容。上村一夫がこういう作品を描いたら、たぶん右に出る人はいないのではないかと思うほど。

装幀ではA5版の方が所有欲を満たすというか、重みを感じるというか。
(ビニールカバーが掛かっていて、見返しの鮮やかなピンク色、上村一夫の顔写真、薄く漉いた和紙を挟んで扉絵になるという豪華な造り、なのだ)

でも、内容を考えると文庫版だし。

こういうパターンがあるから、既に持っているタイトルの本であっても判型が違ったりすると内容も異なることがあって、なかなか買う買わないの判断が難しいのである。

実は、他にもそういうパターンがあるのであるが、いずれまた。


『一葉裏日誌』
A5版単行本: 1986年5月 初版発行
文庫版: 1996年9月 初版発行

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