上村一夫 『同棲時代と僕』 の不思議
相当前から上村一夫の漫画を集めている。
なんといっても、あっしにとっては「目力」にイチコロ、というわけである。
その上村一夫が著した唯一(?)のエッセイ集である『同棲時代と僕』。
Webで調べてもプレミア価格がついているし、なかなか現物を確認することが出来なかったけど、いつも行く古書店のレジ近くにひっそりと置かれていたじゃあ~りませんか。そのまま値段も確認せずに買ってしまった。やっぱりプレミア価格だったが・・・(笑)

表紙は『同棲時代』の今日子。
流れる涙が途中で赤くなるという、物語の悲劇性を暗示している。
それはそれとして。
読み始めたら、なんだかおかしい。
『同棲時代と僕』というタイトルは、この本のタイトルであると同時に、冒頭を飾るエッセイなのであるが。
このエッセイ、話がうまくつながっていない?
どうやら、文章のつながりが変になっているみたいなので、ちょっと解析してみました。
以下、問題となる12〜13ページの直前の文章を引用します。
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「愛の狩人」を同棲時代の陽の原因であるとすると、陰の原因としてA君のことを上げなくてはなるまい。
私は漫画の世界に入りたての頃、漫画家とは一体どんな人種であろうと興味を持って、多数の漫画家と会った。 (11ページ終わり)
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この後の12〜13ページがこれ。

(見えない方は、少し拡大したこちらをご覧ください)
そのまま読むと、12ページに入っていきなり上村一夫はA君の部屋に入っている。
中盤にさしかかると、
「・・・。女性も、カスリを着せておいたらピ(改行)不思議な事に、漫画家は阿佐ヵ谷に多く、・・・」
なんだ、この「ピ」というのは。
さらに読み進めると、
「・・・。私は初めて男が男に対して「優しい」というのを聞き、彼に興味を持った。
ある日、また二人で飲んでいると、酔った私の頬に突然、平手打ちが飛んできた。・・・~~~。
・・・。私は不思議な人だと一層の興味を持ち、いたたまれず彼の下宿を訪ねることにした。 (12ページ終わり)」
まぁここまでは一括りの描写であろうと思われる。
この本全体にいえることであるが、文章のかたまりの最初を示す「一字下げ」があったり無かったりする。だけど、11ページから13ページにわたる混乱からすれば、かわいいモノだ(笑)
さて、13ページの冒頭部分。
「ッタリするような感じの女で、何も言わず影のようにA君のそばによりそっている。・・・」
ということで、12〜13ページのつながりは、
「いたたまれず彼の下宿を訪ねることにした。ッタリとするような感じの女で、・・・」
となるわけ。
なんだ「ッタリ」って。
もうおわかりでしょう。
というか、画像にA、B、Cと入れておきましたが、12〜13ページは、
A→B→C
のブロックで読まなければならないのです。
つまり、
多数の漫画家と会った (11ページ終わり)
↓
(A)不思議な事に、漫画家は阿佐ヵ谷に多く、・・・
↓
彼の下宿を訪ねることにした。 (Aブロック終わり)
↓
(B)部屋に入ると、かわいい女性が一人いた。~~~。女性も、昔のカスリを着せておいたらピ (Bブロック終わり)
↓
(C)ッタリするような感じの女で、・・・ (13ページ冒頭)
という流で読むのが正しいのです。
なんでこんなコトになったのか分かりませんが、編集とか校正の仕事についてはよく分からないのですけど、締め切りの関係で抜けてしまったんでしょうかねぇ。
奥付は、

初版から第2版まで2日だけですね。こういうもんなのでしょうか。
年末だったからなのかなぁ。
ちなみに、
「落丁本・乱丁本は本社でお取替えいたします」
と奥付に書かれていますが、そのどちらでもないので、交換できないでしょうね。
第3版以降が発行されたか分かりませんが、この部分は修正されたのでしょうか。
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