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2014.09.06

上村一夫 『同棲時代と僕』 の不思議

相当前から上村一夫の漫画を集めている。

なんといっても、あっしにとっては「目力」にイチコロ、というわけである。

その上村一夫が著した唯一(?)のエッセイ集である『同棲時代と僕』。

Webで調べてもプレミア価格がついているし、なかなか現物を確認することが出来なかったけど、いつも行く古書店のレジ近くにひっそりと置かれていたじゃあ~りませんか。そのまま値段も確認せずに買ってしまった。やっぱりプレミア価格だったが・・・(笑)

20140906a

表紙は『同棲時代』の今日子。
流れる涙が途中で赤くなるという、物語の悲劇性を暗示している。

それはそれとして。

読み始めたら、なんだかおかしい。
『同棲時代と僕』というタイトルは、この本のタイトルであると同時に、冒頭を飾るエッセイなのであるが。

このエッセイ、話がうまくつながっていない?

どうやら、文章のつながりが変になっているみたいなので、ちょっと解析してみました。


以下、問題となる12〜13ページの直前の文章を引用します。
------------------------------------
 「愛の狩人」を同棲時代の陽の原因であるとすると、陰の原因としてA君のことを上げなくてはなるまい。
 私は漫画の世界に入りたての頃、漫画家とは一体どんな人種であろうと興味を持って、多数の漫画家と会った。 (11ページ終わり)
------------------------------------
この後の12〜13ページがこれ。
20140906b

(見えない方は、少し拡大したこちらをご覧ください)

そのまま読むと、12ページに入っていきなり上村一夫はA君の部屋に入っている。
中盤にさしかかると、

「・・・。女性も、カスリを着せておいたらピ(改行)不思議な事に、漫画家は阿佐ヵ谷に多く、・・・」

なんだ、この「ピ」というのは。

さらに読み進めると、

「・・・。私は初めて男が男に対して「優しい」というのを聞き、彼に興味を持った。
ある日、また二人で飲んでいると、酔った私の頬に突然、平手打ちが飛んできた。・・・~~~。
・・・。私は不思議な人だと一層の興味を持ち、いたたまれず彼の下宿を訪ねることにした。 (12ページ終わり)」

まぁここまでは一括りの描写であろうと思われる。
この本全体にいえることであるが、文章のかたまりの最初を示す「一字下げ」があったり無かったりする。だけど、11ページから13ページにわたる混乱からすれば、かわいいモノだ(笑)

さて、13ページの冒頭部分。

「ッタリするような感じの女で、何も言わず影のようにA君のそばによりそっている。・・・」

ということで、12〜13ページのつながりは、

「いたたまれず彼の下宿を訪ねることにした。ッタリとするような感じの女で、・・・」

となるわけ。
なんだ「ッタリ」って。

もうおわかりでしょう。
というか、画像にA、B、Cと入れておきましたが、12〜13ページは、

A→B→C

のブロックで読まなければならないのです。

つまり、

  多数の漫画家と会った        (11ページ終わり)
   ↓
(A)不思議な事に、漫画家は阿佐ヵ谷に多く、・・・
   ↓
  彼の下宿を訪ねることにした。    (Aブロック終わり)
   ↓
(B)部屋に入ると、かわいい女性が一人いた。~~~。女性も、昔のカスリを着せておいたらピ    (Bブロック終わり)
   ↓
(C)ッタリするような感じの女で、・・・      (13ページ冒頭)

という流で読むのが正しいのです。
なんでこんなコトになったのか分かりませんが、編集とか校正の仕事についてはよく分からないのですけど、締め切りの関係で抜けてしまったんでしょうかねぇ。

奥付は、
20140906d
初版から第2版まで2日だけですね。こういうもんなのでしょうか。
年末だったからなのかなぁ。

ちなみに、
「落丁本・乱丁本は本社でお取替えいたします」
と奥付に書かれていますが、そのどちらでもないので、交換できないでしょうね。
第3版以降が発行されたか分かりませんが、この部分は修正されたのでしょうか。

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