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2015.02.20

USB DAC付ヘッドフォンアンプの話 (Digi Fi No.10 付録) その5

引き続きです

前回は文字ばかりだったので、今回は図を使って再度簡単に説明します。

20150220a
( ↑ よく見えない方はクリックすると別窓で表示します)

図(A)は、PCM2704C 自体のアナログ出力です。
アナログ部の電源電圧である 3.3V の 1/2 (= 1.65 V) を中心として、電源電圧の0.55倍をPeak to Peak (=1.815 Vpp)とする正弦波振幅を出力します。

ところが、本機の出力仕様を満たすためには、約3倍の電圧増幅が必要になります。

図(B)は、この増幅後のアナログ出力波形を示したものです。
この図では、1.65 Vを正弦波の中心としています。

正弦波の振幅は、5.66 Vpp (Peak to Peak) となるために、波形の上側は 4.48 V、下側は -1.18 V になります。

この時点で、既に元の電源電圧 3.3V を超えていますし、USBの電源電圧 5V の範囲にも収まっていません。したがって、電源側に何らかの対処が必要なことが分かります。

また、オペアンプを使って増幅させる場合には、前回も述べたように同相電圧入力範囲、出力電圧範囲の制限である 1.5V の余裕を持っておかなければならないことにも注意が必要です。

ここで、正弦波の上半分の半波だけを考えてみます。

仮想電圧基準(仮想GND)を 0V としてみると、上側ピーク電圧は 2.83V 。
さらに、オペアンプの動作電圧余裕を 1.5V とすれば、

2.83 + 1.5 = 4.33

となって、5V 以下となります。
つまり、半波ずつであれば、それぞれに対応する電源電圧が 5V で事足りることになります。

通常、オペアンプの基準電圧は 0V 、電源電圧は上下均等に 5V (+5Vと-5V)とか、12V (+12Vと-12V)などにするような考え方です。

ここで、5V といえば、USBの電源電圧ですから、そのまま使えれば使ってしまった方がいいでしょう。

それでは、もう一つの電源はどうするか?

既に、その2の回で、それらしい回路があることに気がついてはいますが…。

いよいよ次回真相が明らかに
(まだ続くのかよ(笑))

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2015.02.10

USB DAC付ヘッドフォンアンプの話 (Digi Fi No.10 付録) その4

続きです

USB DAC付ヘッドフォンアンプの出力を再度確認すると、

・Maximum Output Power : 13 mW ×2 (300Ω)
・Line Level : 2 Vrms (MAX)

となっています。

使われている PCM2704C のアナログ出力関係の特性を下表にまとめると、

20150210a

となります。

もともと、アナログ出力である VoutL、VoutR は、

1.65 V を中心として、上・下にそれぞれ 0.9075 V (1.815 V peak to peak)の信号変化しかしません。
この場合、正弦波でこの電圧変化をすると仮定すれば、実効値は 0.6417 Vrms となります。
ヘッドフォンに対する出力であれば、負荷抵抗 16 Ω ならば、出力は 25.736 mW です。

したがって、ヘッドフォン出力だけならば、ICそのものの出力でまかなえます。
ただし、ヘッドフォンの負荷抵抗が増加すると出力は低下しますので、増幅してあげる必要が生じます。
例えば、本機の仕様にある負荷抵抗 300Ω で 13 mW を確保するならば、

1.975 Vrms (= √(0.013 × 300) ) の電圧が必要になるので、増幅率は、

1.975 / 0.6417 (= 3.078) 倍となります。

また、ライン出力を追加するとなると、2 Vrms (MAX) ですから少なくとも、

2 / 0.6417 (= 3.117) 倍の出力を作り出さなくてはなりません。

なので、それぞれOPAmpによる約3倍の電圧増幅が必要になるのです。

最初に、中心電圧に対してそれぞれ上下 0.9075 V の信号変化としましたが、これが3倍になると、2.723 V となり、上下合わせて 5.445 Vpp となってしまい、USB電源電圧 5V を超えてしまうことは前回書いた通りです。

なので、何らかの方法でこれを賄うだけの電源を作り出す回路を必要とすることになるのです。

また、OPAmp には、同相入力電圧範囲、出力電圧等の動作制限がありますから、十分な電源電圧を持たないと入力波形に対して出力波形が変化してしまう、つまり、歪んでしまうことにつながりますから注意が必要です。

なお、使われている OPAmp である NJM8080 では、それぞれ上下の電源電圧に対して標準で 1.5 V の余裕が必要となります。(これは、OPAmp の入力段・出力段が、トランジスタ2個分の Vbe を確保しなければならないことに由来しています。データシート(pdf)の等価回路を参照のこと)

さて、では、この「USB DAC付ヘッドフォンアンプ」ではどのようにしているのでしょうか。

ということで、次回に続きます

(今回は予定変更しました。すいません(汗))

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